藪医者
2018.03.08更新
宗像市葉山クリニックの撫中です。先日、診察中に患者の口から「藪医者」という言葉を聞きました。前医の医療行為に対して発した言葉でした。ネット検索してみると、藪医者の語源については、諺「藪をつついて蛇を出す」(余計なことをしてかえって事態を悪化させてしまう)からとする説、似て非なる物に「薮」の字を冠するところからとする説や、野巫(やぶ)を語源とする説もある。また、腕が悪くて普段は患者の来ない医者でも、風邪が流行って医者の数が足りなくなると患者が押し寄せ忙しくなることから、「カゼ(風)で動く=藪」という説もある。「藪のように見通しがきかない」医者という説も存在し、この説に基づき、藪以下の全く見通しのきかない未熟な医者を「土手医者」と呼ぶこともある。また藪医者以下のひどい医者のことは、「やぶ医者にも至らない」「藪にも至らない」という意味を込めて「筍(たけのこ)医者」と呼ぶこともあるとのこと。松尾芭蕉の弟子だった森川許六が編んだ『風俗文選』によると世の中で「薮医者」という表現は、本来名医を現す言葉であって、今言われている下手な医者のことではないのだそうです。いつごろの時代であろうか。ある名医が但馬の養父(やぶ)という所にひっそりと隠れるように住んでいて、土地の人に治療を行っていました。その評判は広く各地に伝わり、多くの医者の卵が養父の名医の弟子となりました。養父の名医の弟子と言えば、病人もその家人も大いに信頼し、薬の力も効果が大きく、「養父医者」は名医のブランドでした。しかしこのブランドを悪用する者が現れました。大した腕もないのに、「自分は養父医者の弟子だ」と口先だけの医者が続出し、「養父医者」の名声は地に落ち、いつしか「薮」の字があてられ、ヘタな医者を意味するようになったのではないか、という説などがあります。
私も過去に4-5回「藪医者」と言われたことがあります。いずれも意思疎通の欠如から生じたことだと考えています。今後、何回「藪医者」と言われるか、わかりませんが、できる限り少なくしたいと思います。
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