胎内記憶
2025.05.16更新
宗像市葉山クリニックの撫中です。表題のテーマはご存じでしょう。赤ちゃんが母体内にいるときの話を2-4歳くらいにしゃべる、というものです。研究者によれば、胎内記憶に止まらず、受胎時前後の話も語られています。例えば、「私(赤ちゃん)はお父さんとお母さんを空から見てて、選んできた。」というようなことも数多く、胎内記憶として語られています。ここで、記憶とは何か、簡単には、体験したことを覚えていること、と言えるでしょう。となると、受胎時前後には体験する個体(肉体)、記憶を担う脳がまだありません。つまり、記憶というより、肉体とは別の「意識」というものが存在し、それが、肉体にやがて降臨する、という仕組みが必要になります。この「意識」については、2024.10.15「reincarnaton(生まれ変わり)」で考察しており、今回は、狭義の胎内記憶について考えてみます。筆者は過去に新生児(主に低体重で出生)の脳血流の定性を経験し、論文化しました。新生児は、体重増加に伴い、脳血流の分布を、視床・大脳基底核部優位から大脳皮質優位へと移行していきます。概して体重4000gくらいを境に移行します。そのことを踏まえると、胎内では、視床・大脳基底核部優位であると言えます。一般に新しい記憶は海馬にファイルされ、その後大脳皮質に蓄積されていきます。胎児の胎内での体験は、海馬にファイルされ、記憶されることになります。その後、その記憶が大脳皮質に移行し、言語化できる2-4歳で想起され、語られる、ということになります。胎児が情報を入力する最大の感覚器は聴覚です。すでに妊娠5か月くらいには外部の音は聞こえているようです。つまり、妊娠中、赤ちゃんに語り掛けたり、その場の環境音を聞かせたりすることは胎児の体験として成立するのでしょう。また、母体の感情の起伏も、神経伝達物質のパターンに応じ、間脳に刷り込まれる可能性は大いにあると考えます。人間形成は受胎したときから、すでに始まり、一番近くにいる母親、父親の環境としての影響は当然ですが、大きなものとなります。胎教、大事ですね。
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